ジョニーの『世界はスクリーン』☆

Movieスクリーンと人生スクリーンの案内人=スクリーン・アテンダント。それがジョニー☆

過去/未来は同居してる─いま目の前で

 

ヤバい映画と出会っちゃいました。

 

アメリカン・アニマルズ』

“American Animals”

 

予告編

https://youtu.be/nRCpQRkaAtA

公式サイト

http://www.phantom-film.com/americananimals/

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日本公開は いよいよ本日5/17(金)から。

それに先駆けて、幸運にも

本作のバート・レイトン監督ご本人が登壇した、特別試写会に参加して

いち早く観ることが出来ました!

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とにかく。

最高。

映画って、こんなこと出来ちゃうんだ!と、

痛快に度肝を抜かれた。

傑作。


既存の「映画とは、こういうものだ」「真実を語る時は、こういう形にするものだ」という概念を根底から刷新して、よくある「“Based on”a true story (実話に“基づいた”作品です)」の言い訳を取り払って、傲慢でない“This is a true story (これは実話です)”に到達した金字塔的作品。


今まで何千本映画を観たとしても、この作品を見ずに、今のこの時点で「映画」を語ることは出来ない(語ったことにはならない)だろう。

表面的な“評論”や“感想”のために観るのではなく、「自分事」として「体験」「感じること」が出来た時に初めて、この映画の真価に触れると思う。


斬新なスタイルが目を惹くが、奇をてらって創るのが目的ではなく、あるべきものを、あるべきところに、あるべき形で置くことに誠実に専心した結果であることは、出来上がったシーン達の至る所に見られる繊細な表現から、十二分に感じ取れる。


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“真実”は時間軸・時系列に囚われない。


当時の実際の「現実」の画面の一部に、現在から見た証言・記憶・幻想が違和感なくシャープなスタイルで挿入されながら“PLAY(再生)”される、前半の「事の起こり」部分の高揚感は、まさに当時の当事者たちが体験していたであろう高揚感そのまま。笑いも交えながら、バックを彩る絶妙な選曲群も不可欠な要素。


そして、事件実行の辺りからの焦燥感・迷い・絶望のカラーを纏う後半は、グッとトーンがシリアスになるが、これも当時の本人達の心情そのものを感じさせ、この後半があるからこそ、事件全体・映画全体がファンタジーで終わらない、エモーションと繋がるリアルなものとして深まる。


変に色を付け過ぎないエンディングも秀逸。事件全体を単なる“見世物”にせず、実行者・周辺者の双方が負った傷にも配慮しながら、それぞれが行き着いた“現在の決断”を、結論を押し付けることなく差し出す。

 

そして何より、最初から最後まで、その“真実”の提示の仕方にワクワクが止まらなかった。心の掻き乱しが止まらなかった。

 

 

試写後、バート・レイトン監督が登壇のトークショー

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ご本人の “イイ人” ぶりに感動 ^ ^

作品の至る所(特に繊細なポイント)に見受けられる、

“この事件「そのもの」を表現しよう”とする誠実さは、

監督のパーソナリティから来ていることを確信。

家族含む事件当事者からの信頼も納得。

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監督が言っていた、

「よくある “Based on” a true story (実話に“基づいた”作品です)の文言は、作り手側の言い訳」

という発言。

 

本編でもポスターでも明言されている、

“This is not based on a true story” (これは 実話に基づいた作品です)

ならぬ

“This is a true story.” (これは実話です)

の文字。

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別に「これのみが真実だ」という傲慢さからの言葉ではない。

(それは、本編の描き方を見れば、誰の目にも明らか)

我々が思ってる“事実”は移ろいやすい、ということを根底に据えた上で、

誠実に「起こったこと」を紡いでいく。

この “これは実話です” という高らかな宣言は、伊達じゃない。

 

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監督のトークも、とにかく濃い・深い話ばかりで

興味が尽きなかったが、

(約30分位しかなかったのが非常に残念;;)

中でも印象に残ったのが、

「事件の被害者の女性が、この映画を観て ようやく、

犯人の学生たちを赦す気持ちが芽生えたと言ってくれた」

というエピソード。

 

実際に精神的・身体的なダメージを負った被害者に

そんな心の変化を起こすことは、

並大抵のことではない。

 

実際の事件が、非常に痛みを伴う結末だっただけに

このエピソードを聞いて、ほんの少し安堵感を得ると同時に、

この作品の素晴らしさ、この作品が生み出す影響を

端的に示す逸話だと思う。

 

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とにかく、

最高の映画体験… いや、“現実体験”。

劇場で “経験” して欲しい。

必見です。

 

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では また、スクリーンでお会いしましょぅ〜

See you on the Screen!!! ☆☆☆

 

ジョニー